というわけで2009年、もう一つのムーブメントは4stスポーツカートだった。レンタルカートから1年経てずにレーシングに手を出してしまった僕としては、レンタルカート界の1年を知らない。だから、既に歴史を刻んでいるレンタルカートフェスティバル(以下RKF)に対しても、自分と関係のあることとは思っていなかった。

しかし、レーシングでチームメイトであるマツケラさんと”あまっつ”がRKFに出場することで、身の回りの出来事であると認識、しかも優勝してしまったものだから、一気に注目することになる。そして自他ともに認めるホンダ・ファンの僕としては、GX270を搭載するクマモルフィン(現SAFTY FAST)のマシンは憧れの対象となった。

そんな時、オートスポーツ誌主催のスポーツカート耐久シリーズ(以下AS杯)が開催されるという噂を聞く。またレーシングでのホームコースであるサーキット秋ヶ瀬も開催コースに含まれているという。僕にとって秋ヶ瀬はレーシングの象徴であり、レンタル経験はほとんどなかった。秋ヶ瀬がどのようにスポーツカートにコミットしていくのか、平塚~大井の神奈川エリアのような好循環が生まれるのか、とても興味深く感じた。そして何よりオートスポーツの冠、注目されるであろうレースが、走り慣れた秋ヶ瀬で開催されることに心惹かれた。そう自分が出場することを前提に。

しかし誰と出るの? レンタルを早くに離れてしまっただけに、その頃の僕のカート人脈は、会社の同僚か、レーシングでの所属チーム・ガレージCに限られていた。なんとかガレージCを巻き込めないものか。今やレンタル界は無視できない程の勢力であり、秋ヶ瀬と同様にガレージCもコミットできないものか。カートを始めて1年にも満たないオッサンが、そんな野望を抱いてしまったのだった。

秋ヶ瀬のレンタルカート・デーでもAS杯の話題で持ち切り、後にスポーツカート占有走行日も設けられ、秋ヶ瀬独自のスポーツカート耐久シリーズの開催も決定する。この流れに、ガレージCスタッフ・岡田さんが興味を示す。そんななか、チームメイトの先輩・高橋氏は、エキスパートで入賞してしまったことから、チャンレジカップの出場権を失ってしまう。年間レース数の激減に悩んでいた同氏も、この耐久シリーズに興味を示してくれた。出場メンバーが揃ってしまった!!

動き始めると腰が軽いのがガレージC。大々的にチーム員を誘ってみると、出場希望者がワンサカ。なんと3チーム分も集まる。ここで新たなニーズに気付く。かつてレーシングカートを所有し、訳あって手放した方々。そういう方々にも、このレースは魅力があるということ。

5月23日、AS杯第2戦およびCA耐久シリーズ開幕戦。ガレージCは、レンタル車両を用いたGT-2クラスに3チーム出場。チーム編成をくじ引きで行なうなど、お祭り騒ぎで大いに楽しんだ。しかし皆レースとなると真剣。耐久慣れしたレンタル界の猛者達にコテンパンにされ、悔しそうだったのが印象的だった。

高橋氏&ほりっつAKMT

9月21日、CA耐久シリーズ第2戦。またも多くの参戦希望者が集まる。メーカーからのレンタルでGT-1クラスにも出場することに。前戦の反省から、チーム編成も可能な限り気を使った。今回はAS杯とWタイトルではなかったのだが、それでもエントリー数は多く、激戦の予感。まだまだ2戦目で作戦の最適化は行なえなかったが、それでも両クラスで表彰台をゲットした。ここでRKFの出場枠を得る可能性も見えてきた。

Team ガレージC スポールガレCうちだいぶ速いんじゃね?

僕としては、心の底で狙っていたRKFの出場枠。もちろんライバル・チーム達は最初から狙ってきている。ガレージCとしては多少出遅れた感はあるが、可能性が出てきた以上、無視するわけにもいかない。ここでようやく本気になった。

一方、ガレージCとしてスポーツカートを持つという話も出てきた。最終戦にむけ、GX270エンジンを注文。そう、僕が憧れた最強エンジン、それが現実となったのだ。メーカーのレンタルではなく、自前のGT-1マシンを制作。しかしながらエンジンの到着が間に合わず、テストもできず、レンタル・エンジンでぶっつけ本番となってしまう。

10月12日、最終戦はGT-1、GT-2に1チームづつのエントリー。GT-1は先のとおり、テスト不足の不安。GT-2はメンバー編成に苦しみ、ピット回数を最適化できない状況。結果、GT-1はブレーキ・トラブルで涙のリタイア。GT-2は8回ピットストップ義務で、4位に終わる。両クラスともRKFの出場枠には入れなかった。

ガレージCワークスGT-1AS杯Rd.5、GT-2ファステスト

しかし、ガレージCとしてスポーツカートに挑戦できたことは大きかったし、皆が真剣にレースを楽しみ、そして一緒に悔しさを分けあったことは財産といっていい。「来年こそは」と胸に刻んで、この1年を終えるはずだった。はずだったのだが…。

覆水が盆に返ることもある。逃したはずのRKF枠、GT-1(スーパーレンタル)については、ラー飯能からの紹介で、GT-2(レンタル)についても、秋ヶ瀬の上位チームが他の枠から出場することになり、お鉢が回ってきたのだ。ガレージC、2010年のスポーツカート活動は、なんと『RKF』からスタートすることになる。

もちろん2010年もAS杯がある。ロードコースを使ったスポーツカート耐久『ジャパンカート杯』も新たに開催される。YAMAHAの正規代理店として、ガレージCも出場予定だ。2009年はガレージCにとって、スポーツカート元年だった。そして2010年は飛躍の年になるかもしれない。

というわけで、3回に渡ってお送りした2009総集編は、これにて終了。ガレージCのスタッフおよびチームメイトの皆さん、サーキット秋ヶ瀬のスタッフやカート仲間の皆さん、そしてこのブログをお読みいただいている皆さん、2009年中は大変お世話になりました。2010年も弊ブログと私AKMTをよろしくお願いいたします。