今日は第4回『チャレンジカップカートレース in CA』チャレンジクラス出場へと、サーキット秋ヶ瀬へ行ってきた。

今回初成立となったチャレンジクラス、その詳細や出場経緯は前回の記事を参照のこと。この日で『AKMT零号車』がラストラン、次回からは新車『AKMT壱号車』での走行となる。零号車へのお礼の意味もあり、レースでラストランを迎えてやりたかったのだ。

先の記事のとおり、チャレンジカップの午前中は通常のカート走行時間。チャレンジクラスに出場するにあたり用意した武器、チームメイトから頂いたセミハイグリップタイヤ『ダンロップSL6』と、所属ショップ・ガレージCからお借りしたリードバルブ・エンジン『IAME コメットK55』のチェック走行から入る。しかしピットロードから出たところでチェーンが外れストップ。直前チェックを怠っただけに反省。しかしこれは、この先を考えると、大した問題ではなかった。チェーンを貼り直し、再びコースに入るが、どうにもおかしい。まったくフケないし、パワーにもムラがある。壊れないようにとキャブを濃く設定していたのもあるが、どうしたものか。思い悩んでいると、スタッフ・岡田さんから戻って来いのサイン。キャブを再設定し、再びコースイン。しかし、ほとんど改善されなかった。戻ってエンジンを確認。プラグを抜き、空回しすると、なにやら異音がする。岡田さんも首を横に降った。

とりあえず、自前のKTエンジンに載せ替え、それで2本目のセッションを迎える。もちろんKTでは太刀打ちできないであろうチャレンジクラス、少し不貞腐れながらの走行となった。タイムも覚えていない。

そんな僕に気を使ってか、岡田さんは自身がレースで使用する予定だったエンジンを、「使ってみますか?」と申し出てくれた。正直かなり恐縮してしまったが、岡田さんは「チャレンジクラスが成立するのであれば、(スタッフの)自分が無理に出る必要もないですし」と、僕の気を軽くしてくれた。その心遣いに感謝し、お申し出を受けることにした。

ITAL SISTEM

ITAL SISTEM

そのエンジンとは、空冷100cc最強エンジン『イタルシステム』。お店のものではなく、岡田さんが現役時代に使っていた私物だ。午前中最後の練習走行枠で試走できるよう、僕が新し目のタイヤに組み替えている間に、スタッフの方々が総出でエンジンを載せ替えくれた。感謝です!! 僕ではキャブを合わせられないので、壊れないようにと、かなり濃い目に設定してもらい、僕は一切弄らないこととした。午前中最後のセッション、まずは岡田さんが試走、本来なら19,000回転まで回せるエンジン、僕が壊さないようにと、17,000くらいで常用するようにセットされた。

岡田さん with AKMT零号車

岡田さん with AKMT零号車

AKMT with AKMT零号車

AKMT with AKMT零号車

残り10分弱、いよいよ僕が試走に入る。強烈なパワーだった。流れる景色がビデオの早回しのように過ぎ去っていく。セミハイグリップをしてグリップ不足を感じるほど。ブレーキングもなかなか摘めず、最初のうちはクリップにつけなかった。それでも27秒中盤でラップできるのである。恐ろしや。他の出場者はミッションやエキスパート・クラスの方々。そのタイムを聞いてみると、27秒フラットあたりがポールタイムになりそう。

岡田さんもタイヤのグリップ不足を指摘していた。まぁ、有りモノで間に合わす趣旨のクラスではあるし、それほど深刻に考えることはない。しかしサポートに来ていたスーパーKFドライバー・ヤマト君が、「使い古しのハイグリップなら持ってますよ。使います?」と申し出てくれた。先のとおり、他の出場者はエキスパートの方々、僕だけがフレッシュマンなのである。これくらいのハンデは戴いても良いかも…と、この申し出をお受けすることにした。なんだかんだコメットが使えなくなってから、エンジンからタイヤまで、図らずもチームのエース待遇を受けることになった。ありがたや~!!

昼休み、雲行きが怪しくなってきた。どの段階で降ってきてもおかしくない状況。せっかく環境が整ったので、せめてタイムトライアルだけでもドライ・コンディションでと祈った。一方、出場しないかと思われた岡田さん、お店からKT100SPを持ってきて、急遽カートを組み立てる。岡田さんを犠牲にエンジンを借りた立場ながら、師匠と同じレースに出場できることを喜んだ。

さて、チャレンジカップ開催。今回はコマー60、ジュニア、S、SSの各フレッシュマンに加え、僕が出場するチャレンジクラスと計5クラス。光栄なことに、チャレンジクラスがオオトリとなった。

師匠・岡田さん

師匠・岡田さん

自由Aパパ選手のエンジン

自由Aパパ選手のエンジン

願い叶ってタイムトライアルはドライを維持。比較的前方グリッドからスタートしたが、すぐにX30エンジンに置いて行かれた。「ああ、やっぱり僕はフレッシュマン…」などと嘆きつつ、ポン乗りからの慣熟に努める。しかしハイグリップタイヤの効果は絶大で、エンジンパワーとマッチしている。タイム次元は異なるものの、アクセルワークはKT+BS07という馴染みのバランスに近い。そうなれば、あとはブレーキだ。いろいろ試している内に、ミッション・カートに刺されてしまった。

AKMT with AKMT零号車

「良い機会だ、引っ張って貰おう」

… そう思い、付いていく。徐々にクリップに付けるようになってきた。

「あれ?こっち方がペースが速い??」

そう思った時、ピットからチームメイト高橋氏の『離れろ!!』のサイン。ミッションはストレート・スピードが速く、オーバーテイクは困難。ここは離れるべき。1周を犠牲にし、再びアタック開始。いやぁ、めちゃくちゃ楽しい。これだけのハイパワー、「俺カートに乗ってるぞ~!!」という実感をヒシヒシと感じる。思い出したようにアルファノを見た。

祝福を受けるAKMT零号車

27秒19…

見たこともない数字にビックリした。こうなったら、26秒台狙ってやる!!と意気込んだ時、排気音がイキナリ大きくなった。確認できる範囲、ノイズボックスは付いたままだし、チャンバー方面に思えた。オレンジボールの準備がなされていたようで、ピットインのサインが出る。ある程度予想していたので、1周まわらずにそのままピットイン、セッションを終えた。エンジンとヘッダーを繋ぐナットの1つが脱落していた。原因が分かったところで、いきなり皆から拍手を受ける。どうやら3番手タイムだったようだ。ポールからコンマ1秒半落ち。自分でも驚く。今日、このクラスへ出場するにあたり、先輩方は『危ない』と心配してくれていた模様w そこから考えれば、上出来ではないか。僕が3番手タイムを出した時、なぜか大爆笑が起こったというw いや、愛されていると解釈しておきます…(ビデオで確認したら、本当に大爆笑だった)

予選ヒート、残念ながら雨が来た。路面温度が高いので、うっすら濡らすくらいなのだが、他のクラスを見てみると、レインタイヤの方が速そうだ。時間に追われるチャレンジカップ、一応練習用の摩耗した浅溝SL94なら持ってきていたのだが、正直メンドクサイ。他の方々の動向を見守ろうかと思ったが、皆も同じ心境だったようで、そもそも持ってきていない人もいた。「じゃ雨スリック勝負ということで!!」という協定が結ばれたw

予選スタート、ハイグリップだけに多少の誤魔化しが効くものの、僕は雨スリックの経験がほとんどない。オープニングラップのヘアピンで何台かスローダウン、すり抜けて2番手に躍り出た。しかしながらトップがウェービングしていたので、リスタートかと勘違いしてスローダウン、ストレートで3位に転落してしまう。いやぁ、流石に相手はエキスパートの方々。雨スリックでも、はえぇ、はぇ~。防戦一方。4コーナーの立ち上がりで岡田さんに何度もイン並びかけられる。エンジンパワーにモノをいわせ、イン・アウトの入れ替わる最終でインに入る。いやぁ、師匠のノーズが見えると、そりゃもう興奮ですよ!! なのに、ある時から来なくなった。あれれ?と思ったのだが、どうやら最終コーナー、僕のアウト側で飛んでいったらしいw これもギャラリーから大爆笑。(ビデオで確認したが、この日一番の大爆笑でした…。酷い人達だw)

大爆笑大爆笑

決勝ヒート。この時は完全ウェット。なのに雨スリック。ハイパワー・エンジンでの雨スリックw 怖いところだが、実際無理をしなかったのと、ギア比もドライのままなので、なんとかスピンもなく完走した。いや、とんでもなく置いて行かれましたが…。スピンで後退した方を除きドベ、7台中6位だった。いやぁ、それにしてもミッション勢が強ぇ~。タイムで勝っても、レースで負ける。

おつかれさま、AKMT零号車!

チェッカーを受けてから、車検場に向かってクールダウン。あたらめて、ラストランを終えた零号車に感謝した。何度もステアリングを撫で、ちょっと感傷モード。中古ながら、初めて手に入れた自分のカート。調子の良い日も悪い日も、相棒として頑張ってくれた。綺麗に掃除してやろう。余生は我が家でゆっくり過ごしてくれ…。

それにしても、今回出場したチャレンジクラス。ギャラリーも多く、とても盛り上がった。零号車にとっては、皆に注目してもらい、納得のラストランになったのではないだろうか。このクラスを継続開催するのは難しいかもしれないし、次があっても観戦する立場だが、また成立してくれることを祈っている。

ショップに戻って、零号車から新車・壱号車へ移植するパーツを取り除く。リアバンパーを失い、いつもの立ちスタンドではなく、シャフトで支えるスタンドへと移された。いつもと違う姿に、本当にラストランだったんだと実感した。ちょっと涙が出た。

最後に、エンジンを貸してくれた岡田さん、タイヤを貸してくれたヤマト君、サポートしてくれた皆さん、応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました。新車でも頑張ります!!