忘れもしない9月6日、相棒の納車・シェイクダウンされる日。契約から2週間以上空いてしまったものだから、否が応でも期待感が高まる。

SWF-32SP/2005

ショップ・ガレージCに到着、それらしきカートが立ちスタンドで控えている。伊勢田店長の「そう、それですよ~」のひと言で思わず腰を上げる。契約の時はエンジンもタイヤも装着されていなかったが、この日はもちろんコンプリート。とにかく感動して、何度も撫でまわしたと記憶している。

納車すなわち、チーム・ガレージC入隊である。これから出会っていくであろうチームメイト、入隊初日のファーストコンタクトが高橋氏だった。試乗や契約などでフライングでお会いしていたチームメイトの方はいらっしゃるが、その際に同世代の方々が沢山いるとは聞いていた。まさにその方とお会いでき、とにかく安心した。今日がシェイクダウンだと知ると、ご自分の体験談など、面白可笑しく聞かせてくれる。話が前後するが、いきなり掃除道具一式を忘れるという大ヘマをしでかしたのだが、高橋氏は道具を貸してくれるだけでなく、走行後のメンテナンスまで懇切丁寧に教えてくれた。チームメイトの有り難さを、いきなり実感した。

話は戻って、走行前のメンテナンスをチーム・スタッフの岡田さんに、これまた懇切丁寧に教えていただく。いきなりマイカートと接近遭遇、工具を握る手が震えた。そして今でも強烈な記憶として残っているが、押しがけの練習。9月だというのに猛暑だった。押しがけを一発で成功させてやると意気込み、その意気込みが過ぎて熱中症寸前まで衰弱してしまった。あわや「シェイクダウン断念?」とまで思ったほど。今にして思えば、この頃は1日走行というものが眼中になく、午後のみの走行を当たり前だと思っていた。残された時間は少ない、とにかく水分をとって、回復に努めた。

なんとか回復し、緊張の押しがけ。チームメイトの皆が見守っている。あれは入隊儀式だったのだろうか、とにかく厳かに行われた。見事一発で成功、練習が活きた。相棒とのファーストコンタクト、まずはナラシのラインで走行。確かに試乗したカートとは違うフィーリング。エンジンもダイレクトだし、タイヤもスリック、伝わってくる振動も、風切音も印象が異なる。この走行はビデオに収めてあるのだが、チームメイトの皆がいつ全開に入るのか注目していた。すみません、まだ怖かったんです!! ようやく2回目のセッションで全開を試し、何であれ記録に残ってしまうであろう初日のタイムというものを出してみようとした。結果は30秒8。ダイレクトでスリックなのに、試乗時よりコンマ4秒しかアップしなかったが、30秒台に入れたので安心した。

SWF-32SP/2005ホンダとブリヂストンのステッカー

そして2週間後2日目の走行、何故か29秒9と29秒台に入った。僕はこれで勘違いしてしまった。秋ヶ瀬の攻略を疎かにし、とにかくこのまま走れば、どんどん速くなれると思い込んでしまった。今でもまだまだ分かっていないが、レーシングはコンディション1つでタイムなどは猫の目のように変わる。そうとは知らず、その後は何も考えずに走行する日々を漠然と過ごすことになる。

そんなとき、10月に開催されるチャレンジカップのお話を、チームメイトのあまっつパパから聞かされる。「レースは練習3回分の価値がある!」この言葉に魅了された。とにかく練習だと思い、まずは出場を決意した。そしてチームからは、ポールタイムの1秒落ちを想定した29秒8というタイムをクリアしてから出場する旨の提案を受け、僕も同意した。ベストタイムをあとコンマ1上回れば良いのだ。しかしその後は、29秒台はおろか30秒中盤をウロウロしていた。ここで珍しく妻が声を出した。「Fドリは攻略とか考えていたようだけど、秋ヶ瀬はしてるの?」してない。全くしてなかった。ここからレースまでの残された時間で攻略し、実践していかなければならなかった。チームスタッフやチームメイトの助言を受け、一度解体作業に入った。タイムは逆に落ちていき、完全に迷走状態に陥った。結局レース当日まで基準タイムを出せず、出場を断念した。その後CA最終戦を目指したが、同じく断念、そして現在に至っている。

しかしながら、このところは一度解体された走行が、再構築されていっているのを実感している。今のベストは30秒フラットだが、ほぼそれがアベレージになるまで安定してきた。以前のマグレ・タイムとは一線を画する。これもいろいろとアドバイスやセットアップをして頂いた、チームスタッフやチームメイトのおかげである。あともう一息だ。

AKMT相棒と一服するAKMTの図

さて、そんな温かいチーム・ガレージC。その出会いも今年一番の出来事といえる。チームメイトには秋ヶ瀬で勝つ人、チャンピオンを獲る人、はたまた全国を獲る子までいる。多少卑屈な言い方になるが、30秒台を壁にしている僕を、スタッフともども温かく迎えてくれる。いずれレースに出ようとは思っていたが、ここまで強く意識し始めたのも、これらチームメイトの方々に憧れたからだ。何度かレースを観戦したが、やはりチームメイトは特別だ。とにかく応援するし、感動ももらえる。この年齢になって新たな人間関係を築いていく自信もなかったが、そんなハードルをいとも簡単に崩してくれるのも、このチームの成せる技かもしれない。しかしカート界は本当に面白い。10代の若者達と、僕達のようなオッサンが垣根なしに話せ、なんだったら友情まで育んでいる。たぶん他のスポーツではあり得ないのではないか。もちろんカートでキャリア・パスを描く若者と、趣味の僕とでは気概が違う。でも、他では得られない体験をさせてもらっていると感じる。少し照れくさいが、宝物のようなチームだ。

YAHAMA-Jrチャンピオン・山田遼選手YAHAMA-Jrチャンピオン・山田遼選手

マイカートも順調にバージョンアップ。既に納車時から強化されていた、カーボン製フロアパネル、GLAD製ブレーキ・パッド、強化ナックル。そこからフロントをハブ・タイプに変更、押しがけヘルパー装着。レインタイヤ一式も用意した。図らずもリア・シャフトは2度も新品になったし、今後はブレーキ・ローターも交換予定。まだまだトレッド幅だけだが、自分用のセッティングが施され、さらに自らデザインしたカウル・ステッカーを装着したことで、ますます相棒感が高まっている。

晴れの日のAKMT号AKMT零号車

来年1発目の走行は1月4日、とにかくハブ化したフロントの挙動の変化が楽しみなところ。痛めたアバラの調子が良ければ1日走行、微妙ならば半日走行で様子を見る予定。ちょっとフライングしてしまったが、来年の抱負は新年になってから。とにかく皆さん、一年間ありがとうございました。来年もこのブログをよろしくお願いいたします。良いお年を!!