今日は『CAスポーツカート耐久シリーズ』開幕戦GT-1クラスに出場するガレージCチームのお手伝いへと、サーキット秋ヶ瀬に行ってきた。

先のレンタルカートフェスティバルが終わり、いよいよ所属チーム『ガレージC』のスポーツカート活動も2010年を迎える。ホームであるサーキット秋ヶ瀬が昨年からシリーズ化した耐久レース。今年は全5戦、再びもてぎへのロードが始まる。

このブログをご閲覧いただいている方々はご存知だと思うが、僕とガレージCのスポーツカート活動は実に縁が深い。特にGT-1クラスについては、その立ち上げから傍で見させていただき、とても他人事とは思えない間柄にある。今はスタッフ岡田さんが率先して指揮しており、僕は自身のカート活動縮小の影響から距離を置いていた。しかし岡田さんは戦友であるし、ここ数週間の努力を見聞きしていた。しかも開幕戦を闘うドライバー達は、ガレージCのスポーツカート活動のオリジナルメンバー。これは駆けつけなければなるまい!! 僕にも出来ることがある筈だ!!

ガレージC スポーツカート部

今回は今までの経験から、GX270エンジンの大幅軽量化を行なった。しかも、湿式クラッチのままである。昨日の晩組み上がったばかり、レース当日のフリー走行時間がシェイクダウンとなる。

フリー走行、おぼろげながら自分達の立ち位置が見えてくる。エンジンの軽量化の効果は絶大だった。別物のエンジンかのように吹けあがる。タイムも上々! 一方、今年から導入される給油2リットル制限、しかしながら重要となる燃費は不透明だった。不安と期待が入り混じった練習走行となった。

ドライバーズミーティングが終わり、いよいよスタート進行が始まる。オーダーとともに、ドライバーの紹介をしたいと思う。スターティング・ドライバーは、我らがチームのエース・岡田さん。自らマシンを組みながら、意外にもGT-1初出場。その速さは折り紙つきだ。2番手は神様・矢島様のマック矢島氏。速さに定評があり、SLレースでは次戦いよいよスーパーSSで参戦する。そして高橋氏。昨年1年間SLスーパーSSで揉まれた強さ、そして安定感に定評がある。そして、くあどら氏。秋ヶ瀬レンタル界の雄でありつつ、チームの中ではいち早くSLスーパーSSに進出した経歴の持ち主。エース岡田さんを筆頭に、スーパーSS勢で固めた力強い布陣だ。

岡田翔吾選手

岡田さんを撮る余裕しかありませんでした…m(_ _)m

くじ引きにより、3番手スタート。岡田さんがスタートで一気にトップへ躍り出る。2番手にはライバル・チームKBFのエース・A氏。エース同士のタイム・バトルが展開される。しかし後方に、とても気になる存在もあった。トラブルからピットスタートを余儀なくされたG・J・C@ルーフR。昨年のチャンピオン・チームだ。今年はスポーツカート界の黒船エンジン『ワールドフォーミュラ』を搭載している。物凄いスピードで追い上げてくる。こうなると、燃費が鍵となっている。

先の練習走行から、こちらも燃費に不安があった。岡田さんには最初から燃費走行をお願いしていた。セーフティカー(以下SC)次第だが、岡田さんには2スティントをお願いすることを前提に、30分で切り上げていただくことにした。燃費を確認するためだ。序盤には波乱がなく、エントリー台数も多くないことから、SCは入らないことを前提に作戦を組み上げた方が得策かと思えた。予定の30分で躊躇なく岡田さんに給油のサイン。マック矢島氏へと繋ぐ。給油時の確認で、燃費はまったく問題がなく、むしろ余裕があり過ぎるくらいであることが判明する。

マック矢島氏には、ロングスティントを40~45分をお願いした。終始安定したペース、燃費走行ながら岡田さんに遜色ないタイムを叩き出す。とても頼もしい走行だった。予想通りSCはなく、フルに走行していただいた。

ここで給油、高橋氏にチェンジ。ここで基本的な作戦を固める。GT-1は5回のピットストップ義務がある。4人編成である我々は、2人が2スティント、残る2人が1スティントの構成となる。既に岡田さんの2スティント構成は確定しており、ここで高橋氏に2スティントを託すこととした。高橋氏の20分の走行後に給油無しのドラチェン、くあどら氏のロングを経て、給油後に高橋氏の2スティント目、最後にエース・岡田さんのミドル・スティントでゴールを目指す!! ここまで決めちゃう程に、SCは入りそうになかった。

高橋氏も燃費走行を試しながらも、安定した速いペースを維持。躊躇なく、20分でドラチェン。予定通り、くあどら氏へ!! と、ここで初めてのSCは入った。ライバル・チームであるKBFがガス欠で立ち往生していた。ここで作戦を切り替えることも脳裏に浮かんだ。すかさず給油に入り、高橋氏の2スティント目を行ない、くあどら氏にゴールを託すというもの。確かに、これが最適だった。しかし、主要ライバルであるKBFのストップであり、ルーフRも動かなかった。順位も落ち着いてきており、我々は周回数で大きくアドバンテージがあった。無理に動く必要もない。くあどら氏には、ステイのサインを送る。

くあどら氏も終始安定したラップを刻む。30分ほど周回した頃、2度目のSCが入った。少し予定より早いが、ここは利用すべき。給油のサインを出し、高橋氏を送りだす。燃費は大きくプラス。この当たりで、『優勝』の二文字がチラつく。「トラブルよ、起こってくれるな!!」、ひたすら祈った。

残り30分を残し、岡田さんの2スティント目、我々の最終スティントを迎えた。この時点で12周のアドバンテージ。岡田さんの後方では、2~3位のKBFとルーフRが激しく争っており、ちょっぴり不安に。しかし最終スティントのエース対決に水を差すわけにもいかず、ピットも静観を決め込んだ。走り切ってくれ!! 残り10分が長く感じた。残り6分、周回数で抜かれることはない。しかしチェッカーを受けたかった。3分、2分…、その時が近づいてくる。岡田さんが最終コーナーから腕を上げて進入してくる。力強いガッツポーズをピットに送り、見事にトップチェッカー!!

CAスポーツカート耐久開幕戦、GT-1クラス表彰式

ガレージCがスポーツカート活動を初めて、特に自製のGT-1マシンを持つようになって半年弱。いろいろな経験をしてきた。辛酸をなめ続けた時期もあった。しかし、その経験が一つでも欠ければ、今日の結果には繋がらなかっただろう。耐久での優勝が、こんなにも嬉しいものだなんて思いもしなかった。レーシングカート活動でもチームの存在は大きいが、耐久戦はチームそのもの。チームが一丸となっての勝利なのである。

岡田さんが夜なべして作ってくれたエンジン。しっかりと仕事をしてくれた。そして、ドライバーの要素も大き過ぎる。マシンだけでは勝てない、そう思える素晴らしい走りだった。お手伝いの立場とはいえ、このチームに参加できたことを、本当に感謝している。チームの皆さん、そしてこのレースに参加した皆さん、そしてサーキットのスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。

次戦は5月5日、オートスポーツ杯とのWタイトル戦である。オートスポーツのシリーズを追う強豪達が集結する。今のパッケージでどこまで闘えるか分からないが、とても楽しみである。秋ヶ瀬がホームであるという闘いが出来ればと願う。ショップへ帰還後、次戦にむけてのプチ・ミーティングも行なった。モチベーションは高い。