昨日は『オートスポーツ東日本スポーツカートシリーズ(以下AS杯)』および『CAスポーツカート耐久シリーズ(以下CA耐久)』の第2戦、GT-1クラスに出場するガレージCチームのお手伝いへと、サーキット秋ヶ瀬に行ってきた。

3月に秋ヶ瀬単独開催の耐久レースに優勝してから約2ヶ月、いよいよオートスポーツの名を冠したシリーズの1戦である。CA耐久にとっては第2戦、AS杯にとっても大井松田に続く第2戦目となる。AS杯を追う強豪たちが集結するため、自ずとレベルも高くなる。地元の意地もある、そして愛読するオートスポーツの名を冠した、とても特別な1戦なのである。決戦といっても過言ではない。

ガレージC スポーツカート部

これまで時間に追われたガレージCのスポーツカート活動、今回も時間不足には違いなかった。しかし先の優勝により状況が整理されつつあり、時間の使い方もより効率的になってきた。CA耐久の開幕戦からの変更点は、ずばりクラッチ!! 純正の湿式から乾式へスイッチしたのだ。といって、このレースのために購入されたわけではない。お金をかけないのが信条。実はショップとしてロードコース用の耐久レース『ジャパンカートカップ』に出場した際、乾式クラッチを導入する必要があったのだ。あくまで流用である。その乾式クラッチが及ぼす影響をテストし、セットアップや作戦の方向性を決めていった。

手違いもあった。AS杯にむけて、ニュータイヤを投入する予定だった。その恩恵が勝負を決することもあるかもしれない。ドライバー陣からの要望もあった。しかし決断が遅れたまま、ゴールデンウィークに突入、もう入荷できなくなってしまった。2レース+練習で摩耗した約800ラップ落ちのタイヤでレースに臨まなければならない。不安の種だった。

レース前夜のギリギリまで、スタッフ岡田さんとテスト項目の洗い出し、岡田さんが丹念にマシンを仕上げた。しかしテスト項目を消化し切れないまま、当日朝の公式練習を迎えた。ドライバー陣にテストの趣旨を伝え、燃費テストをこなして頂きつつ、ドライバー主導でシャシーセットも煮詰めていく。流石に経験豊富なドライバー陣、比較的早い段階で戦えそうな数字が見えてきた。もう手遅れだが、少しでもタイヤを温存すべく、早めに走行を切り上げた。

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抽選の結果、グリッドは4番手。残りくじの中では最上のグリッドだった。耐久では、如何に自分たちのペースで走れるかが重要となる。このグリッド順には勇気づけられる。昼休みを使ってミーティング。実はこれが初めてのミーティングである。基本的な作戦を確認する。流石にAS杯だけに、コース上の台数が多い。先のCA耐久開幕戦と比較しても、周回遅れの処理やセーフティカー(以下SC)を利用した給油のタイミング、その重要度が増す。ピットサインの確認など、ドライバー主導で相談。あとはスタートするのみ!!

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スタート・ドライバーは、前戦と同様にエース・岡田さん。速さとレース強さ、今回のマシンへの精通度から、岡田さんしかいない。4番手グリッドから、2コーナーまでで一気にトップへ躍り出る。主要ライバル勢が後方でモタついているうちに、どれだけリードを開けるか。岡田さんのラップタイムは想定を遥かに越えるものだった。今回は燃費も安全マージンをとりつつ、残燃料も安全マージンを設定、その許される範囲でSCを待つ作戦。しかし、あまりのペースの速さに、燃費が不安になってきた。予定より5分早く限界を設定し直す。結局SCは出ず、ピットサインを出す。しかし残燃料から燃費を計算すると、むしろ想定より良いことが判明した。

2ndドライバーはヒガシ選手。秋ヶ瀬のSLレース出身で、SL全国大会でポールや表彰台、最終的には地方選まで進出した経歴の持ち主。ガレージCのスポーツカート活動にも協力的で、活動が苦しい時期からの戦友、Wエースの一角である。残燃料に余裕があることから、ヒガシ君にはロング・スティントを託すことができる。かなりのハイペースで、どんどんと後方を引き離す。流石である。あとは何時SCが出るかである。しかし、ここ秋ヶ瀬では処理が迅速なため、SCは出難い。何度かスタンバイしたが、徒労に終わる。開始から1時間20分を超えたところ、処理し難い箇所で止まっているマシンがいた。「これは出る!!」 そう確信してピットインのサイン。給油できるスペースは6台分しかない。確信したら、早めに動く。エントリーの多い今戦では、給油スペースの争奪戦。負けてピットスルーになるのが、最大のロスになる。陣取りは成功、SCも入った。「よし!!」

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3rdドライバーは神様マック矢島選手。レンタル耐久の経験が豊富かつ、先にはSLスーパーSSデビューを果たしたスピードの持ち主。先の2人がロングスティントだっただけに、ここからは5回のドライバー交替義務を如何に果たすかがポイント。それでもSC待ちの作戦には違いない。マック矢島選手は周回遅れの処理も的確、バトルもこなし、持ち前の速いペースを崩さない。同選手が約20分走行したところで、再びSC。給油スペースの争奪戦も勝利し、ロス無く給油を行なうことができた。しかも、うまく同氏を2スティント構成にできるタイミング。ナイスだ!! ここで予定の給油をすべて消化する。

4rdドライバーは僕が尊敬する先輩・高橋選手。ガレージCのスポーツカート活動にいち早く理解を示し、支えてくれたドライバーだ。ライオンの巣といわれる秋ヶ瀬のSLスーパーSSクラスで何度も入賞を重ね、速さと強さを併せ持った頼れる存在だ。本人談によれば、耐久ということで、無理はしないつもりだったという。しかし、主要ライバルと目された67号車『新湘南新宿』を前に出してから、スイッチが入ってしまった。ハイ・ペース・アベレージでガンガン行く。あの暑さのなか、それを40分続けてしまう集中力。見ていて一番面白かったシーンだ。SCは入らず、これでは1ドライバーも持ち時間を1スティントで消化してしまう。ピットインのサインを出し、マック矢島選手の2スティント目へと突入する。

主要ライバル勢はトラブルなどで脱落し、7周のアドバンテージがあった。しかし、これは1トラブルでひっくり返る数字だ。作戦面では特に必要もなかったが、効率化を求め続けた。ドラチェンもSCと絡め、ロスを最低限とする。そして秋ヶ瀬の最多周回記録を目指すのだ。最後のドライバーは誰にするか、高橋選手に打診したが、既に燃え尽きていたw CA耐久開幕戦では岡田さんにゴールをお願いした。ヒガシ君にしよう。若いし体力もあるだろう…というのは冗談で、同選手には昨年のトラブル・リタイヤやレンタルカートフェスティバル(以下RKF)での苦戦など、なんというか『恩』がある。残り5分でも走って貰おう…と思ったら、なんとマック矢島選手がわずか10分走ったところでSCが入った。

残り30分、既に最大スティントを消化したヒガシ君には申し訳ないが、若さに頼ることにしたw あとはトラブルが起こらないように祈るのみ。ピットサインでゲキを送る。無理しなくても良いのに、30秒7でラップするヒガシ君。あとで聞くと、無理なく走る方がタイムが良かったというから、カートは奥深い。残り3分、周回数で抜かれることはない。そしてラスト1周のプラカード、周回遅れの処理にガッツポーズも忘れてヒガシ君がゴールした!!

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ついに念願叶った。オートスポーツ杯で優勝だ!! 地元・秋ヶ瀬しか参戦する予定がないからこそ、地元で勝ちたかった。遠征組の方々に、「秋ヶ瀬で勝つには地元チームに勝たなければならない」と思って欲しかった。地元の意地、そのチームに我らがガレージCがなれたことを、この上なく嬉しく思う。

勝因はパッケージだと言える。燃費とスピードを兼ね備えた岡田さんのエンジン、それを支えるフレームとセッティング、そして何より秋ヶ瀬を知り尽くし、ロスなく周回を重ねられるドライバー。チューニング全盛のなか、とてもカート屋さんらしいパッケージだと思う。

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自分のカート活動について、いろいろと落ち込んでいた数週間だったが、今回のレースをお手伝いできて、なんだかモチベーションが復活した。僕も乗りたいと素直に思えた。チームの皆にお礼を言いたい気分だ。

先に悲願の初優勝を果たし、さらに今回はAS杯での勝利。高橋選手ではないが、燃え尽きたい心境ではあるw でも秋ヶ瀬のタイトルを狙い、RKFもてぎでリベンジするまでは、まだまだ頑張っていければと願う。

さて既に主催者側からの情報もアップされている。まずはオートスポーツ。

ASスポーツカート:スポーツカートに新激戦区が登場、サーキット秋ヶ瀬はGT1クラスの大量エントリーで開催

そしてサーキット秋ヶ瀬。

CAスポーツカート耐久シリーズ 第2戦 2010/05/05
AUTOSPORT 東日本スポーツカートシリーズ 第2戦

さらに明日5月7日には、スポーツ紙でモータースポーツの代名詞・東京中日スポーツ紙面で紹介されるようだ。皆さんもご一読くだされば幸いです。

オートスポーツやサーキット秋ヶ瀬など主催者の皆さん、そして参加されたチームの皆さん、応援に来られた皆さん、本当にお疲れ様でした!! 次回は7月19日(月祝)CAスポーツカートシリーズ第3戦でお会いしましょう!!

追伸:嬉しくて、はしゃぎ過ぎですね。でも嬉しいんです!