今日は『CAカートレース』最終戦、スーパーSSクラス出場に、サーキット秋ヶ瀬へ行ってきた。いつも以上に長文です。

第5戦を欠場しての最終戦、4ヶ月以上ぶりのレースとなる。3ヶ月のカート休養でリソースの回復に努めたが、だからといって無尽蔵に使えるわけもなく、『ブランクによる劣化からの回復』や『苦手な冬用セット』、『新規投入パーツ』など、リソース投入のバランスには吟味を重ねた。基本的にネガティブな性格の僕は、積み重ねながら不安を解消し、自信を深めていくしかない。考え得る準備を確実に行なっていくのだ。先の日記のように、1週前までに体力やセット問題には答えを出した。いつもより1週間前倒しで進行している。

前日練習

そうして向かえたレース前日。メニューは少なく、簡単な準備のみ半日で上げるつもりだった。アライメントの最終チェックと新品タイヤの皮むき、そしてスプロケやプラグ、チェーンなどの新品消耗パーツの初期不良確認など。しかし生憎の雨。この簡単なことが難しい。特にタイヤの皮むきについては、難しい上に重要度が上がる。仮にレース当日の朝まで雨が残れば、タイトラがレインタイヤ、予選からドライなんてこともある。冬にローリング1周だけで剥けるわけもなく、その差は勝敗を左右するほど大きい。しかし冬の雨の中で新品ドライタイヤの皮むきは一苦労なのだ。午後には雨が止み、太陽が出てきた。しかし走行台数が少なく、少しでも早く路面が乾くようにと、僕自身もレインタイヤで走行した。しかし夕方の最終セッションまでにドライパッチすら出来ず、結局夕暮れの寒空のなかウェット路面でスリックの皮を剥いた。カートを壊さずに済んで安心した。

レース前夜

前夜は「最終戦くらいドライで真っ向勝負したい!」という気持ちと、「でもタイトラが濡れていれば予選で有利」など、複雑な心境で過ごした。今までレースといえば、時間不足のぶっつけ本番になることが多かった。でも失うものがないから、上を狙うだけだったし、それがテンションにもなった。しかし今回は失うものがある。しかも天候に妙な期待を持ってしまい、フワフワした気持ちが積み重ねてきた自信を陳腐化させ、どんどんテンションが落ちていく。早く寝ないといけないのだが、自分のブログを読み返すことで、自信を取り戻そうとした。

サーキット入り

翌朝サーキットに出向くと、路面が乾きつつあるのに驚いた。前日太陽の下でも乾く素振りすら見せなかったのに、冷え込む夜中に何故?

おそらく風である。太陽がなくとも、風があれば乾くのだ。これはドライだと覚悟する。晴れ用に用意した今戦の弾•軽量サイドカウルを装着、セットは雨要素をまったく含まない完全ドライ仕様にセット。計量後にウェイトと燃料積載量のバランスを調整。一部問題があったブレーキのシムとボルトも、手伝いに来てくれていたアマッツが解消してくれた。準備万端、アマッツに感謝である。

タイムトライアル

これまで緊張とは無縁だった僕だが、このタイトラ前ほど緊張したことはない。練習の成果を出し切る…、その期待値の分ハードルが高くなったのか、それとも単に減量で心臓が正常(敏感)になったのか、驚くくらい緊張した。ライバル勢を見てみると、皮むきしているドライバーは少ない。最初の数周を遅いペースに巻き込まれれば、おそらく調子を崩す。タイトラは公式練習から連続して行なわれるが、最初から前に出て、単独で走ることにした。

いつもは大好物の新品タイヤだが、なんだかグリップが心元ない。たぶん期待の高さからだろうか、28秒8台という自分のタイムが適性なのか分からない。電光掲示板で順位を確認したが、自分のゼッケンが見当たらない。これはあとで間違いだったと分かるのだが、単独走行に限界を感じた。そこで速いドライバーに引っ張って貰おうと、スローダウン。チームメイトの後ろに付けるが、あまりに接近し過ぎてタイムロス。少し離れて追いかけ直したが、1周のみのタイムアタックで終わってしまった。なんとかベストを更新したが、28秒8台に変わりなく、結果は5番手だった。走行中に確認したはずの電光掲示板、僕は4番手あたりに自分を探していたのだが、序盤は2〜3番手に居たそうだ。5番グリッドは自己最高位だが、出し切った感がない。単独でアタックを続けていれば、いや追っかけるにも旨く後ろに付けていれば…、とにかく悔しい。直前練習でカートの不調を訴えていた先輩・高橋選手が4番手。ぶっつけ本番でセットを変えて、立て直してきた。流石としかいいようがない。

予選ヒート

この最終戦はポイント上位3人によるチャンピオン決定戦という位置づけがあり、とてもナーバスなレースである。考え方は人それぞれだが、僕を含めた大部分の選手は静観モード、なるべく影響のないように闘う姿勢だ。予選ヒートについては、3選手が1-2-3を占めてくれたおかげで、比較的シンプルにレースできそうだ。

僕は奇数グリッドの有利なイン側スタート。もちろんアウト側の高橋選手を刺す気満々だったが、そうは問屋は卸さない。5番手のままオープニングラップを終える。しかも序盤のペースについていけず、タイヤが暖まった頃には3車身以上の差を付けられてしまう。そして事件が発生、チャンピオン争いを展開しているASNパパ選手が、チェーン切れでストップ。多少動揺したが、自ずと3位を追うレース展開となったのだ。キャブを調整したらペースアップできたが、その差は縮まらず、フリーズ状態のまま4位でゴールした。トップ勢を含めた膠着状態。つまりはトップ勢と同じようなタイム次元で走行していたことになる。まったくレースをさせて貰えてないのが情けないが、これはこれで始めての経験。あとで教えて貰ったのだが、このヒートの全体ファステストを記録していた。信じられない。

2011年CAカートレース最終戦 スーパーSS予選ヒート2011年CAカートレース最終戦 スーパーSS予選ヒート

決勝ヒート

チャンピオン争いが多少ややこしくなった。該当者の一人が最後尾からのスタートとなり、まったくスルーというわけにもいかなくなったのだ。接触なんて以ての外だが、青旗のように「はい、どーぞ!」ってわけにもいかない。チームメイトの守谷選手にはチャンピオンになって欲しいが、そのためにASNパパ選手をブロックするつもりもない。通常のレースとして、闘うしかない。しかし、それが最も緊迫する状況なのだ。後ろもそうだが、実は前もだ。僕と高橋選手は2列目スタート、直前のフロントローにもチャンピオン争いのTKD選手と守谷選手がいるのだ。二人には思いっきり闘って貰いたい、この気持ちは高橋選手とて同じだ。

スタート直後、守谷選手がTKD選手に積極的に仕掛けていく。安全な距離だと判断し、僕も通常の速度で1コーナーに進入した。高橋選手がどの程度の安全マージンを考えていたかは確認していないが、僕が3番手に上がった。しかし序盤のペースが上がらない問題が直撃、最終コーナーであっさり高橋選手にパスされてしまった。そして2周目の3コーナーでも、凄い勢いで誰かに飛び込まれた。真後ろに誰か居るとは思っていたが、ここまで簡単に飛び込まれるなんて…と思っていたが、それはASNパパ選手だった。

2011年CAカートレース最終戦 スーパーSS決勝ヒート

「最後尾から1周強で何台抜いてきたんだ!?」

正直かなり混乱した。

予選ヒートと同様、やはり序盤で高橋選手とASNパパ選手に離される。そしてタイヤが温まった頃に膠着する図式。しかし真後ろに松沢選手に張り付かれた。追う松沢選手の速さには定評がある。しかし高橋選手やASNパパ選手と差がジリジリ広がる。つまり僕のペースが悪いのだ。前より後ろを気にしながらの走行を余儀なくされる。キャブを調整して多少のペースアップはできたが、極端に追いつくほどの速さはなく、高橋選手とASNパパ選手の攻防を特等席で見る羽目になる。最終ラップ、3コーナーでASN選手がインに飛び込む。しかし浅く、そのままスピン。それを横目に、僕はかろうじて松沢選手を押さえ込み、4位でフィニッシュした。

あとで聞いた話によれば、TKD選手と守谷選手は他を圧倒するペースでラップを刻み、最終ラップの最終コーナーでの刺し合いをTKD選手が制し、昨年の全国覇者が5年連続チャンピオンを決めた。TKD選手、本当におめでとうございます。守谷選手とのポイント差は、わずか1ポイント。もちろんチームメイトとして守谷選手を応援していたし、とても残念でならない。でもガレージCのリーダーとして、チャンピオン獲りに臨んだ守谷選手の努力は、週末カーターの僕にも伝え聞こえていたし、全国有数の実力の持ち主なのに探求を忘れない真摯さは、いつも驚かされる。しかも、それを惜しげもなくチームと共有してくれる。そんな守谷選手を尊敬して止まないし、いつか成長という形で恩返しできる日が来ればと思う。

2011年CAカートレース最終戦 スーパーSS表彰式

そう、僕はといえば4位。自己最高位にして初めての入賞。苦手な季節で今年の目標を達成!! 練習の成果を出し切ったのかといえば、たぶん順位の上では出し切るどころか、運よく一つ上の成績まで手にした。望み得る最良の結果だ。そういう意味では喜ぶべきだし、嬉しくないといえば嘘になる。昨年の最終戦でスーパーSSデビューした頃に比べると、いくらかは成長できたと思う。ただ課題が見えた。正確にいえば、昨年のデビューから知っていた課題だ。

「スーパーSSって序盤のペースが速いし、その後の巡航スピードも半端ないよね!?」

今回決勝はともかく、予選のタイムは悲観するほどではなかった。それだけに、差分として「序盤のペース」が浮き彫りになる。繰り返すが、知らない課題ではない。でも理解はしてなかった。レース後、先輩に説教される。そこで考え方のバランスが悪いことを指摘された。僕は「如何にタイヤを早く温められるか」という課題と、「タイヤが温まっていない時に速く走る」という別々の課題を混同し、なんだったら無意識に前者を過大に意識しているという。非常に情けない話だが、これはメンタル面にありそうだ。要はビビッてるのね。正直、こういう指摘はありがたい。I先輩には感謝して止まない。今思えば、僕は上記2つの課題を抱えたまま、2年飛び級してスーパーSSに昇級させて貰っていたような気がする。まだまだ先にはバトル的な問題もあるのだ。

とはいえ、このレースで得たものは結果以上に大きい。カートに乗れない時には減量に努め、乗れる時はセットなどを小さく積み重ねる。そうして自信を深め、練習してきたものをレースで実践する。家族の協力なくしては難しかったし、ガレージCスタッフの皆さんの尽力がなければ達成できなかった。本当に感謝しております。そして練習してなかったことは、レースでもできない。これもよ~く分かった。

最後に、シリーズを闘ったドライバーさんやそのご家族、またサーキットのスタッフの皆様、今シーズンは本当にお疲れ様でした。来年の活動を続けられる様、2月の開幕に向けて頑張って参ります。どうぞ、よろしくお願いいたします。

…などと言いつつ、まだ今年のレースは終わっていない。12月25日開催のガレージCカップが最終レースであり、走り収めだ。詳細は後日。楽しみだなぁ~。