先の連休最後の11日、所属チーム・ガレージCによるクラブマンレース・第3回ガレージCカップの出場に、サーキット秋ヶ瀬に行って来ました。

今回のレースは面白い趣向が凝らされており、詳細は前回の記事に譲りますが、簡単にいえば、レーシングで誰も走ったことのないレイアウトを、レンタルカート用タイヤで、いきなりタイトラ本番という、ドSな程のイコール・コンディションで行われました。

前日

実はその前日の秋ヶ瀬はレンタルカート・デー、しかも翌日戦う「くねくねコース」で営業されておりました。となると当たり前のようにコソ練しようとする輩が出てくるわけで、そういう前情報もチラホラ。更にガレージCには秋ヶ瀬スタッフもいるし、彼らは走ったことあるわけだしね!!! というわけで主催者であるガレージC代表・伊勢田師匠にお伺いをたてたところ、「金払ってレンタルカートで走る分には自由」との有難いお言葉を賜り、僕もコソ練してきましたw もちろん秋ヶ瀬の方々も翌日のレースの趣向は十分理解しているわけで、こちらとしてもできる限り堂々と「コソ練に来ました!」と宣言、言い放った後は振り返らず。

この日はスーパーSS勢の高橋先輩と矢島さんと遊んだのですが、異口同音にWヘアピンの失速感がヤバイ。2個目への進入ラインや身体の入れ方など、試し切る程に散財できませんでしたが、イメージの元にはありつけた感じです。

レーシングに置き換えると、やはり悩ましいのがギア比。失速感あるWヘアピンを補うには、大き目のスプロケが欲しい。でもストレート区間は正コースと変わらないので、あまり大き過ぎても、ストレート・ライン・スピードを犠牲にしてしまう。

今回のガレージCカップにむけては、自分なりの縛りもありました。手持ちのパーツのみでやり繰りする。そうなると結局ギア比は一択なんですね。雨用のスプロケの中でも手持ちの最大のモノを使うしかない。あとは同じく手持ち最長のジャバラで勝負!

くねくねコースのコーナー名称

サーキット秋ヶ瀬 くねくねコース

サーキット秋ヶ瀬ブログより

未だ正式にコーナー名が決まっていないので、この記事では仮に下記の様に呼称します。

  • 第1コーナー(正コース:第1コーナー)
  • 第2コーナー(正コース:第2コーナー)
  • 1クネ
  • 2クネ(正コース:第4コーナーまたは右コーナー)
  • クランク
  • 第1ヘアピン(正コース:第3コーナーまたは第1ヘアピン)
  • 第2ヘアピン(Wヘアピンの2つ目)
  • 最終コーナー(正コース:最終コーナー)

タイムトライアル

第3回ガレージCカップ

撮影:久家均氏

さて、いきなりタイトラ。準備に手間取り、最初の5分を使えずに、残り10分からアタックを開始。押し掛け直後にホイルスピン。皮むきしていないレンタルタイヤとKTエンジンの組み合わせ、リストリクターでパワーを制限してあるとはいえ、その組み合わせにビビりました。

なにせ初コース、アルファノに映る数字は見慣れないものだし、そのタイムが適正なのかも分からず。しかしながらタイヤが暖まってくると、少しづつ冷静になってきました。レンタルカート用アドバンED、これが意外にグリップします。レーシング用のSL-FDと比較しても、特性こそ違いますが、優るとも劣らず??

懸念されたWヘアピンは、やはりレンタルカートとレーシングでは、そのままというわけにはいきませんでした。身体の入れ方も違うし、アクセルも開けるべきか待つべきか、その判断が難しい…。

あっという間に時間が経ち、戻ってくると20台中7番手。昨年が6番手だったので少し残念でしたが、まぁ相手が全日本だったり、SLチャンプクラスの中だから、贅沢というもの。というわけで、予選はA組。

練習走行

第3回ガレージCカップ

撮影:久家均氏

なぜかタイトラの後に練習走行、しかも45分間も割り当てられています。イベント性の強い「いきなりタイトラ」の後で、セット的な大失敗を取り戻すチャンスタイムなわけです。僕としては、それほど大きく外していなかったので、ちょっとしたトレッド変更のみ。

実は僕が今回のガレージCカップ出場を決意したのには、少し裏テーマがありまして、それがこの長時間の練習走行枠の存在なんです。僕のレース用エンジンはフル・オーバーホールの直後で、まだまだ下回りが固く、本来の性能ではありません。この時間をたっぷり利用して、来るべくシリーズ戦にむけて、少しでもエンジンを回しておきたかったのですね。でも、あれれ? 身体がいうことを聞きません。今回のくねくねコース、体力の消耗が激しいようです。結局15分しか走らず。

予選ヒートAxC組

第3回ガレージCカップ

撮影:久家均氏

さてタイトラの結果からA・B・C組に別れ、総当り予選。いよいよ”くねくね”初レース体験。事前にBxC組を観戦していましたが、やはりモナコ並に抜きどころがありません。その中ですらバンバン抜いていたのが、何故かタイトラで下位に沈んでいた三笠選手。ガレージC初のフォーミュラドライバーによれば、「どこからでも抜けますよ!」とのこと。確かにWヘアピンで抜いていたのには驚きました。その話を一緒に聞いていたのは高橋先輩。

イン側5番手からスタートし、そのまま5番手、やはり膠着状態が続きます。ミスしたり、されたり、接近戦ではあるものの決め手に欠ける感じ。前方には元スーパーKFのヤマト、直後にピッタリ高橋先輩。終盤突然ペースが落ちたヤマトを抜きあぐねている時、なんだか嫌な予感…。最終ラップのWヘアピンで予感的中、高橋先輩に飛び込まれました。

「やっぱり試したくなったんすね!!」

何年も一緒にレースをやっていると、なんとなく相手の考えていることが分かるものですねw しかもWヘアピンを選ぶところが高橋先輩らしい。2人してゲロって、最終コーナーからストレートへ、並んでゴールして鼻差で負けました!! 6位で失点6。

ちなみにヤマト失速の理由は「疲れたから」らしい。

予選ヒートAxB組

第3回ガレージCカップ

撮影:久家均氏

オープニングラップ、案の定オリジナルの三笠選手にもWヘアピンで入られ、6番手に後退。そのまま高橋先輩とランデブー。…のはずが、いつのまにか浦上選手に入れ替わっており、最終コーナーでインに飛び込まれ7位後退。その後は極度の疲労感…、周囲もそうだったのか、膠着状態のまま7位でゴール。失点7で、合計失点13ポイント。プレファイナルは8位スタートとなりました。

ところで抜いてきた2選手、有言実行「どこからでも抜く」三笠選手、最終コーナーにポイントを絞ってセットしてきた浦上選手。不慣れな新レイアウトといえど、2ヒート戦ってくると、それなりに皆がバトル慣れしてきます。その中でも、この2人はキレが違いました。

プレファイナル

とにかく疲労困憊。「プレファイ止めて、休憩にしましょう」と進言しにいくと、既に15周→10周に減算、決勝も20周→15周に変更になったと聞き、泣き言を吐けなくなりましたw

スタートでは高橋先輩に前に出られ、1クネでは東選手に入られ、10位まで後退。高橋選手は6番手まで浮上しており、「置いてかないでぇ~」といった心境。東君を攻略するにも、考えたらここまで抜いた試しがない。高橋ニンジン様は途中リタイヤされましたが、一度「抜く」という意識を持ち始めたせいで、なんとか集中力を維持することができました。

インフィールドでは詰められるけど、加速勝負では詰められない。最終で飛び込むのが理想だけど、少し距離が足りない。ビタビタに張り付きつつ、相手のミスを待つ。Wヘアと最終の両方で失速気味だったところを、1コーナーで入って、なんとか8位フィニッシュ。

決勝ヒート

第3回ガレージCカップ

撮影:久家均氏

これが最後と思うと不思議と元気が湧いて来ましたw

スタートでヤマトの前に出るも、またもやWヘアピンで入られ、オープニングラップは8位変わらず。しかしながら、ヤマトの疲労度は限界に達しており、わずか5周で首アンダー・手アンダーが見て取れるほど。「これは!!」と思い、理想としていた最終コーナーでのパッシングを敢行、7番手に浮上しました。

しばらく淡々と走行重ねていると、前方では激しいバトルが展開、朧気ながら1位グループと3位グループ、そのうちバラけて5位グループが形成、それを追う展開となりました。染谷君とロッキーの争いは激しく、すぐに5位グループに潜り込むことに成功。流石に決勝、単なる接近戦ではなく、激しく競り合う展開。自分の半分以下の年齢の若者相手に、接近戦を挑むのは本当にしびれました。ラスト2周、合間を縫って一瞬5位に上がったんですが、1クネでロッキーに飛び込まれ、染谷君には連結され、7位にダウン、そのまま7位でゴールしました。

優勝はFCJドライバー・三笠選手、2位は秋ヶ瀬TIAチャンプ・レント、3位に浦上選手。本命選手と光った選手が、そのまま表彰台です。なかでも三笠選手はタイトラ14番手から、この抜きにくいレイアウトでの優勝。もう流石という他ないですね。

僕は惜しくも入賞を逃してガックリ。まぁ30歳以上では最上位なので、自分で「頑張ったで賞」を上げたいと思いますw

第3回ガレージCカップ リザルトはこちら

最後に

第3回ガレージCカップ 表彰式

いやぁ、楽しめました! やっぱガレージC最高!! 鈍っていたレース感も取り戻せたように思うし、失いかけてた自信も取り戻しました。最近乗ってなかったので、自分がカート乗ってて、しかもレース出てた人っていう自覚も希薄になっていたのでw

あと今回の”くねくね”レイアウトでのレーシングカートのレース。一種の実験であったと思うのですが、僕の個人的な見解では、シリーズ公式戦は難しいように思いました。今回は気心知れたチーム員同士、言わば寸止めのマスボクシングのような暗黙の紳士協定が前提だったので成立できたのだと。 キッズやジュニア・フレームならアリかな? 接触は多発するだろうけど、速度域が低いので、それほどダメージはないだろうし。でもクラス跨ぎの車両撤去時間は長くなるでしょうね。あくまで個人的な見解ですけど。

といいつつ”くねくね”のレースは本当に楽しかった。今回このような素晴らしい機会を与えて下さったガレージCとサーキット秋ヶ瀬の皆様、本当にありがとうございます。またマーシャルや押し掛けでサポートして下さった皆様、感謝しております。そして一緒に戦った皆様、本当にお疲れ様でした。また来年もできたら良いね!

では山田さんにビデオを頂いたので、決勝の模様だけでも「くねくねレーシング」

【2月14日追加】ロッキー・ファミリーが動画を公開していたので、こちらでも転載。